タイマッサージと仏教の深い関係

タイマッサージ

鍼灸セラピストのあやにゃんです

タイマッサージが一般的なマッサージと違うところとして、仏教との関わりが深いということをご存知ですか

今回は、タイマッサージと仏教との関係をお話ししていきます

タイマッサージ=仏教思想

タイでは昔から、民間療法としてタイマッサージをWAT(お寺)の中で施術され、教えられてきました

現在でも、バンコクのWAT POでタイマッサージ を受けたり、習ったりすることができます

仏教哲学には4つの神聖な心の境地(親愛・奉仕・慈悲・平静)があり、特にマッサージを施すことは

親愛(METTA)=愛に満ちた親切心を実現することとされています

仏教の教えが生活の基本となるタイでは、マッサージは単なるボディワークとしてだけでなく

仏教の教え(瞑想実現)の一つの形とされ、施術者と受け手の双方に心の平安がもたされると言われています

タイマッサージの創始者

シワカ・コマラパ

タイマッサージの創始者は、今から2500年前の時代を釈尊とともに生きてきた

インド人のシワカ・コマラパとされています

彼は釈尊の主治医であり、当時サンガ(仏教僧の集団)の筆頭医師として活躍していました

彼の伝説は、現存する様々な仏教文献(パーリー語・サンスクリット語・チベット語・漢語)に残されており、特にパーリー語版は古代インドの医学知識や臨床経験をも反映しています

シワカ・コマラパとは

古代マガダ王国に、サーラヴァティーという遊女がいました

彼女は、マガタ王国の首都であるラージャガハという町で男の子を産みますが、周りの人たちに知られたくなかったため召使の女に渡します

その召使は、男の子を穀物と籾殻をふるい分けるカゴに入れゴミ山に置いてきてしまいます

ちょうどその時にアバハヤ王子が通りかかり、男の子を見つけ兵士に次のように尋ねました

「その子はまだ生きているか」

兵士は「はい」と答え、男の子は王子によって拾われ宮殿に連れていかれ大切に育てられました

男の子はシワカと名付けられましたが、それは「彼はまだ生きている」という意味です

そして、王子が彼の面倒をみたことからコマラパと名付けられました

コマラパとは、「王子によって養われた」という意味です

彼が自分で生計を立てなければならない年齢になった時、彼は医術を習おうと心に決めました

タキシラに有名なアートレーヤという石がいることを耳にした彼は、その町まで旅をして、その医師の徒弟になるのです

当時のタキシラは、医学の習得や技術や化学、また伝統的なバラモンの学習の中心地でした

7年の間に、薬草に関しての知識や処方の仕方、脈診術、鍼術などをマスターした彼は実地試験を受けることになります

そこでアートレーヤは彼の薬草に関する知識を試すため、彼を森に行かせ、「森のから薬にならない草を持ってくるように」と指示しました

森の中には薬にならない草が一つもないことを知っていた彼は、見事試験に合格しました

彼がアートレーヤの開頭手術を見ていた時、「開けた頭蓋から虫を除くのには手術道具を熱くした方がいい」とアドバイスをし、アートレーヤは彼の医学の理解の深さに満足し、特別な開頭術を彼に伝授しました

彼がアートレーヤのもとを去る時、アートレーヤは彼に向かって「自分は今インドの医師の中では一番だが、自分が死んだ後は君が後を継ぐだろう」と言ったといわれています

タイの仏教

タイ人の約95%は仏教徒です

そのため仏教はタイ人の性格や心、文化や生活様式にまで大きな影響を与えています

また、仏教はタイマッサージの成立過程にも重要な影響を及ぼしているため

タイマッサージの施術者にとって仏教を理解しておくのは必要不可欠だといわれています

日本の仏教は、インドからチべット・中国・朝鮮半島を経て伝わった北伝仏教です

北伝仏教は大乗仏教ともいわれ、出家者だけが救われるのではなく、大衆も救われることを目的としています

その教えは「他人を悟らせるための手助けをまず自らが行い、最後に自分が智に行き着く」が基本です

そして、その戒律はたいの仏教に比べると比較的緩やかといえるでしょう

一方、タイの仏教はスリランカ・ミャンマーから伝わった南伝仏教で戒律はかなり厳しく

自己の煩悩を断ち、解脱を得ることを目的としています

つまり「自己を救済するもの、それは自己において他にない」という徹底した合理主義の立場をとっているのです

南伝仏教は、ミャンマー・タイ・ラオスやガンボジアにまで広がり、またの名をテーラワーダ仏教(長老たちの教え)を大切にした仏教と呼ばれています

本来の釈迦の教えは、このテーラワーダ仏教に近いと考えられています

慈・悲・喜・捨の心

様々な宗教が掲げる愛という概念を、仏教では次の4つに分けて説いています

これら4つの心は、タイマッサージ を行う時に大変重要かつ必要です

慈の心(メッター)

慈とはいつくしみの心、人に楽を与えたい心

悲の心(カルナー)

人の苦を取り除いてあげたい心

喜の心(ムディター)

楽で苦のないことをともに喜ぶ心

捨の心(ウベッカー)

全ての人に対し、先入観を持たず平等に見る心

タイマッサージ を行う術者にとって、慈悲は使命・喜は生きがい・捨はプライドだと教えられています

Om Namo

タイのマッサージ学校では、朝のレッスンの前に必ずOn Namoというマントラを唱えます

正式には、タイマッサージ を始める前にもOn Namoを唱えますが、実際にはなかなか難しいので

手を合わせて(WAI)から施術を始めます

On Namoでは、このようなことを唱えています

私たちは、タイマッサージの創始者シワカ・コマラパ先生の魂を招きます

彼は生きとし生きるものに思いやりを与え、神からの啓示と癒しの哲学を教えました

どうか、私たちに大自然の知恵をもたらしてください

この祈りは、真の宇宙の医学を私たちに示してくれるでしょう

この祈りを捧げることで、私たちはあなたの救いに感謝を表します

そして私たちの体を通して、健全さと健康がもたらされることを祈ります

私たちがこの世界にいる間、癒しの神は天におられました

天の世界がこの世界に映し出され、癒しの医学が世界に広まりますように

私たちが触れる人が幸せになり、病気が彼から去りますように

私の通っていたチェンマイの学校、ITMで実際に唱えているOn Namoです

まとめ

いかがでしたか

現在、タイマッサージのセラピストとして活躍されている方にとっては

施術する時の心構えとして、再確認できたのではないでしょうか

タイマッサージをよく受けにいかれる方にとっては

タイマッサージの奥深さを知っていただけたと思います

仮に仏教徒ではなかったとしても、タイマッサージ を通して哲学的に仏教を感じてみるのも

いいかもしれませんね

最後までお読みいただきありがとうございました

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